花の底

はしるの
スカートが汚れるのも
構わないで

あちらこちらが
ゆうやけだ
こげたみたいに
あたしたちがきえる

 そうしてあたしたちは
 水平線に並べられた
 かみさまの傘の下
 琥珀色にかがやく雲を
 また、み失いながら
 み付けながら
 ステップをふみ重ねる

はばたいて
はばたいては
ひかるばかりのてっぺん
決して順番を乱さずに並べたら
そのうちにだってみんな
死んでしまうんです

(いいんだよ
 つま先は土にまみれて
 いっとうに
 美しいやつだよ)

咲き満ちている
もうかえらない名前たちが
たなびきあう辺り一面
はなをふむあたしたち
だれがために
いちりんのはなをつみ
だれがために
おどるようにうちよせるの

くるくるとまわりながら
あたしは、花の底
スカートをひろげて
スカートをひろげて

どうしてもおんなじようにはできないの

(いいんだよ
 つま先は土にまみれて
 かえろうよ
 かえろうよ)

かろやかにあたしたちの踵で
おかまいなしに弾けて
ちれ、ちれよ はな
きらめく、
きらめくだけの ひかり

たくさんに
たくさんに流れて
いっぺんにまたたいて
よくみえない

あたしたちは
はなをふむ
だれがために
いちりんのはなをつみ
だれがために
おどるようにうちよせるの