2013-04-27から1日間の記事一覧

Luca

ねぇ、ルカ?あたしたちは、いったいどれくらいの時間を一緒にすごしてきたんだろうね?ねぇ、ルカ?どうやったらあたしは、ルカの声を聴くことができたのかしら?ねぇ、ルカ?いつだってあたしたちは、永遠のなかでねむることができたのにね。てのひらをひ…

futatu

(iti)かみさまがくれたあたしがどうか木のようにたおれないでいられますようにこの足にもしも役割があるならもうずっとこうしてる。てのひらはひらかれてつながれて約束よりかたくむすばれて大切なんだってなんどもくりかえしたけど木のようには永くは生きら…

砂糖水 炭酸水

指さきでふれてそっとふれて気づかないくらいそっとそぉっと虹があらわれる時みたいにそうしてきらきらでぴかぴかのさんそであふれた海へさんそと星くずとあわあわであふれた海へあたしをしずめて口をふさいで呼吸のしかたをおしえて神さまとか運命とかそう…

コーラル

八月の森のいちれつは空や雲や水平線がつらなってやがて終わりの景色のなか白い波の輪郭にしずんでいった。泡と光をとじこめてヤギの背中のようにあたたかくそして引き返せないところまであたしを連れてゆく。似たような夢を何度もみる。だけどあたしはだれ…

リベルテ

みずのいちばん深いところからららるら、ららるらと、音がなっている。どこがはじまりでどこがおわりだったのかわからなくなった世界で祝福は洪水になってあふれていた。夏のにおいのする風をあつめつい、つぅいと水面をなでるとき水底にしずむ黒い石の陰か…

貝殻のような夜

白い砂浜をあるいていると神さまがいらしてねあたしのあたまんなかに鳥をおいてった。その鳥がいうには夜のむこうがわにはせかいのおわりがあってねあいするひととものがけっしてさめない夢をみつづけているんだって。雨上がりのにおいをおいこして波の残骸…

森のエニシダ

(みっつのおはなし)エニシダは、立派な低木樹です。あたしの背よりも少しだけ高いちょうどいい面もちをしています。毎年、雲雀たちが無数にからだを駆け抜ける季節にはまるでひかりをくりぬいたようなやさしいこがね色の花をつけます。それが雪のようにも…

オイフォリ

だれかが天上からそっとオールをさしいれてくる。凪いだ水面のようにしていた雲はしずかにわれそこから幾本にも分かたれたまばゆいばかりの光の束がおりてくる。はじまりは右のオール。おしまいは左のオール。守られていた静寂の庭にしろくちいさいものたち…

スイングバイ

あたしたちを支えあってる重力はぶらんこみたいにそっと息を詰めてあたしはむせかえるようなひかりにあたたかな胸を浸して果てなんてないようなひどく澄んだひだまりとおもいおもい波との距離とをきれいになんて測れはしないからおんなじ分だけ伸ばしたとこ…

はるびるさ

(まっかだね。(もえているんだよ。(うまれたんだね。(まっかだね。(ないているんだよ。(ないているんだね。(まっかだよ。(そうさ。うまれたんだよ。 その時、拍手は割れんばかり 消し損じの茜のトーキーとおく ちらちらと でんせんのごせんふ もやさ…

てんごくからのがらくた

白い息を吐き出しながら朝一番の病院ゆきのバスを待つ。あたしの声は、もう随分と白い息に呑まれ始めていて夢の始まりのようにしてよくきこえない。 小さく逆さまに立ち上がった影から影へと 膨張しては重たくなる水。 泡溜まりはとうめい。 ひび割れた唇か…

花の底

はしるのスカートが汚れるのも構わないであちらこちらがゆうやけだこげたみたいにあたしたちがきえる そうしてあたしたちは 水平線に並べられた かみさまの傘の下 琥珀色にかがやく雲を また、み失いながら み付けながら ステップをふみ重ねるはばたいてはば…

まくらむすび

あたしは横になって、 沈んでくるのか 立ちのぼっているのかわからない ゆきひらのようなそれをみている。 明日のことなんて しらないから 波間に間に消えてゆく ゆきひらのように数えている。(きれいだよ。(きれいだよ。あたりを手当たり次第に埋めてゆくた…

童心

どこへもゆけないどこへもゆけなかったんだろうだれもいいんだよいんだよそんなことはあたしたちにゆきどころなんてなかったねかみさまもしらないあのくものまたたきはどうだそれから偏光は砕け波に合わせてスキップをしているねあたしはいつだってちぎって…

スプリント群

空に無軌道の 分光が暗闇を 喰いつぶして前進する 一塊りになったワルツの中を やつらに圧し拉がれて ちぢむあたし 舌を打つ(二倍率)からだのあちらこちらからぷかりぷかりとしてくるぷくりぷくりとしてくるその仔らの瞳孔を灼いてしまったまばゆいくらい高…

シトロン

うみ きらきらしてるうみ きらきらしてる ひかり ひかりのつぶ あわ ああ ほんとうに これっきりなんです これっきりなんですとおくにじんでくのはきてきはなはほのおをあげている+ + + + +吐く息がひどい白色をしてましたから、怖ろしい白色をしてましたか…

ハルジオン

((あたしたちは みんな かみさまのこども だれひとりとして ひつようをなくして だれひとりとして とどまることをしらない))ああ、けさも、あたしたちはあたしたちのせかいで死にだせないでいる。こんなにも明るくてこんなにも深すぎたあたしたちの祝日…

火垂る(ほたる)

あなたからよぉくみえるように花火うちあげてあなたからよぉくみえるように花火うちあげてあたしたち きらきら垂れるしてしまう景色から零れ続け抜け落ちたあたしはあたしたちの音をそっとかくして(心臓のまたたき。)なんでだろうねなにもかもはうまくいかな…

アダージョ

春、一斉に花びらひらいて みんな 死んだ冬のこと 忘れてた あたしを殊更に どうかさびしく 絶えずその 可愛いつむじの辺りを くるくると廻っている おもかげのような ひとひらを あなたは 降る木漏れ陽の 慈しみ ほんとうに あおくあおく睡り続け その腕に…